スクリーンショット(スクリーンキャプチャ)をばしばし撮ってCMYK変換しなきゃいけない著者の皆さんへ…
▲こういうのを書籍向けにしなきゃならない
どうされてます?
一昔前だと、「カスタムCMYKでGCR100%で分解」というのがお勧め設定として…流布されておりましたが、ちょっとそれは時と場合によるかもよ、という話をひとつ。
やるところもあるんですそれがw 編集さんがやってたり…とりまとめている人がやってたり…
やらざるを得ない人のお役にちょっとでも立てれば、嬉しいなぁ…と思います
GCR100%、フルGCR(墨版生成最大)は汚くなるかもよ
一応、先にメリットをば。
- スクリーンショットの文字が掛け合わせでなくスミになる(こともある)
- スクリーンショットの地はほぼグレーなので、掛け合わせでなくスミのみで表現される
- よってインキ節約
- よって版ズレに強い
- よって全ページで同じ色味のスクリーンショットを掲載できる
- GCR100%分解は、彩度の高い色の発色が良い
ということが言われてきました。正しいのですが、
時と場合によります。
まず1と4。これはもう大昔、10年以上前の話ですね。
だって今のOSのUI、ぜ〜んぶアンチエイリアスかかってるでしょ…フチに色が入るのが普通なんですよ。グレーにもできるけど。
▼Japan Color 2001 Coated
▼GCR墨版生成最大(TOYO/14%/300%)
こうなると版ズレも特にメリット無いですね。ズレたら文字も変になるのは同じ。ズレた場合の可読性は残るかもしれないけども。そもそもそんなに目立つ大きな版ズレ、マンガのカラーページでしか見たこと無いよ最近は。
次に2、3
ちょっと奥さん、最近のAdobeさんのUI見ましたぁ?なんでしょうねあの濃いグレー!
Adobeに限らず、OS7時代と比べたらUIの地色は濃くなりました…それがですね奥さん。
ちょーど紙によって荒れやすい%なんですわよ。
▼Finder設定をGCR100%(TOYO/14%ドットゲイン/300%TAC)分解して刷ったもの(クリックで拡大)
モヤモヤして見えませんか。なんというか、「汚い」ですよね。
しかも、墨版網角45度なところってあまり見かけませんから、スミの縁取りがビビってます。
ちょっと細かめの210線なのでこれくらいですが、175線になったらもっとジャギジャギになってすごく目立ちます。
比較として…
▼Japan Color 2001 Coated分解して刷ったもの。
どうでしょう。色ズレしてますが、ビビリはありません。何より地色やグラデが、スミのみでなく掛け合わせになってきれいに見えます。
もひとつ、WinXP上のExcelキャプチャ
▼Japan Color 2001 Coated分解
▼GCR100%
線がこれだけビビるとルーペ使わなくても見えてしまいます。
じゃスミ45度で出せって?キャプチャフルGCRにしたいから他の写真よりキャプチャ優先で墨版45度にしてくれ、って編集通して印刷会社営業通して印刷会社の中の人に得心させてください。
どうよ。面倒くさくなってきただろうw
まぁとにかく、DTP本などのキャプチャ多用する書籍は用紙もコートアートより、嵩高微塗工とか、読みやすさ優先した紙を選んでますね。網がアートに比べて荒れるのは当然なので、5のメリットとどちらを取るか…
…キャプチャの色なんて誰も気にし(ry
いや(ゴホ)技術系誌ですごく目立つほど各ページのグレーバランスがぶれまくっている本てあんまり見たことありません。大丈夫じゃない?たぶん。
総インキ量(TAC値)は問題になるかもしれない
Japan Color 2001 Coatedばかり比較に出しましたが、こいつのTAC値は350%です。
ちょ…っと嵩高微塗工には多いかな?と思うのですが…
実際問題として、
- 多数の著者に分解してもらう場合もある
- だいたい用紙に合わせたICCプロファイルなんか貰ってないし、印刷会社も持ってないだろ
- キャプチャと他の写真で分けてたら発売日伸びちゃうよ!(ぇ
なぁんてこともたぶんあるかもしれないかなー無いかなーあるんじゃね?
解決するにはRGBで入稿して、印刷会社で適当と思われる方法で変換してもらう、てのが一番かと思いますが、そうもいかない事情もたくさんありますので。
Photoshopデフォルトのプリプレス用-日本2(JP2001C)で縛っておくのが今のところ一番、楽なんじゃないかなと思います。あ、もちろん通常インキ使った印刷の場合ですよ。Kaleido他のインキ使う場合はきちんとそのプロファイルで分解してくださいね。でないと色調整するにしてもスタート地点が違いすぎて泥沼ですよ。
どうしてもTAC値が気になるなら、カスタムCMYKを使ってUCRかGCR(墨版生成中)でTAC値指定分解してください。
インキ設定はデフォルトでも構わな…いや変えないとグレー狂うけど誰も気にしな…いやえーと…うん。まぁ。
墨版生成最大使う場合…二色印刷
こんな場合もあります。
▲InDesignの文字組みアキ量設定(詳細)
これをGCR墨版生成最大でCMYK分解し、チャンネルミキサーで特色赤とスミの二色にします…すると
▲ぎゃ!
文字フチのサブピクセルレンダリングが悪さしやがるんですね。
もう一枚チャンネルミキサー置いてやればフチを自然にグレーに、などとできますが、残したい色もあるから二色にするわけで、当然マスクワークが必要になってとても手間です。
こういうときは、Macの場合はシステム環境設定をあらかじめ変更しておいてからキャプチャしてもらいましょう。
▲MavericksだとGUIで変えられるのはここだけ。外してください。
「使用可能な場合は…」をオフにしておくと、文字フチのアンチエイリアスがグレーだけで構成されるようになります(アプリによってアプリの再起動が必要)
その上でキャプチャし、GCR100%分解すれば
問題なくチャンネルミキサー一枚できれいに分けられます。楽。
相対的か知覚的か?
CMYK分解の際、「マッチング方法」としてレンダリングインテントを選択できます。
「相対的な色域を維持」と「知覚」のどちらかを選ぶのですが(Photoshopデフォルトの「プリプレス用-日本2」は知覚)
正直どちらでもいいですよ。カラーパレットなどの色を扱うパネルのキャプチャでも、どちらが良いとは言えません。
グラデーションの出方や色の純度を見て比較して決めてください。全部「相対的」固定でも構わないと思います。「知覚的」でも。
相対や知覚については3月末発売の+DESIGNINGを見てね!(宣伝
まとめ
てかGCR100%らしきスクリーンショットて最近とんとお見かけしませんが生きてるんでしょうか。
なぜかしらマンガのカラーページにすんごい版ズレが多いような気がするのは気のせいではないですが、技術書や一般書籍であそこまでズレてるのはほぼ、見ません。
印刷信じて大丈夫ですよ。たぶん。
あ、今回のは理想を語ってませんので、「こうすべきだろ!」というのは勘弁してくださいな。
やもめもは入稿直前に息も絶え絶えになっている著者や編集者を応援しています。たぶん。
Macのスクリーンキャプチャ機能で撮影したウインドウの影をなくす方法
ターミナル
・影をなくす
defaults write com.apple.screencapture disable-shadow -boolean true
killall SystemUIServer
・影をありに戻す
defaults delete com.apple.screencapture disable-shadow
killall SystemUIServer