私、元々業界入りしたときは印刷工だったんですよ。その時この本があったら無駄に悩まずに、あらゆるメーカーから湿し水取り寄せたりせずに、変な計測器に給与つぎ込んだりせずに済んだかと思うとなんというか悔しいんですが、
今これ読み終えてそんな悔しさよりも感動の方が強いですよ。凄い。頭の中が整理されて、まるで印刷機の版面やローラー表面のミクロの挙動が目に見えるような気分になっております。
…!印刷オペはすぐ手に入れろ…!
湿し水の本ですが、
ただの湿し水の本じゃありません。
IPA/IPA代替の増粘作用が何によって起こるのかを分子構造から解き、
乳化の制御をあらゆる面からの収支で解き、
何によって汚れが起きるのかを特定し、
グレージングやローラー硬化の理由を詳細に説明し、
「乾燥遅れ=インキの乳化」の単純構造に「理由」を乗せて、綺麗に捌いて納得させ、
キズの抑制、ブランへのパイリング・ブラン残りの抑制、環境対策、等々、等々。
1ページ読む毎に「…!!!!そうだったのか…!」と思うこと請け合いです。
これほど詳細に「湿し水」を、特に現在の湿し水を解説した本は無かった。
そして単に湿し水の物性のみでなく、印刷の現場への影響を詳細に語った本は、無かった。
これを読んだ後、あなたの印刷は変わっているはずだ。
富士フイルムの著者様、本当にありがとう!印刷学会出版部さんもありがとう!
本当に凄い本です。そんじょそこらの印刷技術本じゃ、ない。
お勧めします。
印刷工じゃないけど興味ある、って人も読んでみると楽しいかも…?
Amazon在庫が無い時は、本家でもWEBから購入できますよ。
『なるほど「湿し水」管理とトラブル対策』印刷学会出版部WEBショップ
長年に渡り開発され続けてきた印刷機や用紙、版、インキなどの技術革新に比べ、湿し水の本格的な研究はまだまだ大きな性能向上の余地が残されています。
技術的に複雑で難しい平版印刷では、湿し水もインキ同様に品質を左右する要素であり、デリケートな管理も必要となります。
本書は湿し水を今まで語られなかった部分まで深く解説し、印刷トラブルを防ぐための実用書です。
●主な内容
湿し水って何?/湿し水の機能/水質について/湿し水の管理方法/乳化と湿し水/インキや印刷用紙が湿し水に与える影響/湿し水の環境問題と対応/印刷トラブルと湿し水による対策 ほか編著者:富士フイルム グローバルグラフィックシステムズ株式会社
発行元:印刷学会出版部
A5判 130ページ