(画像は写真素材 足成【フリーフォト、無料写真素材サイト】より写真素材 足成:浴衣)
インキ総量(TAC値)て何かはこちらを見ていただくとして
[9127][用語]【総インキ量】【総網点量】【TAC値】 | DTP・印刷用語集
先に結論を言っちゃうと、
- インキ総量について印刷所側から要求があるなら、印刷所側から方法を示して欲しい。
- プロファイルがあるなら印刷所の責任において分解に供してほしい。
なんですけどね。入稿直前になってTAC値落とすなんて気軽にできることじゃないです。
(※このエントリは、TAC値のみを下げたい、という場合を想定しています)
安易に上質紙用プロファイルやカスタムCMYKを「簡単だよ」とお勧めできない理由…
(注)以下の画像はCMYK値を視覚的に比較できるようにするため、変換後カラーマネジメントオフにしています。
右はJapan Color 2001 Uncoated(310%)。えらく黄色いです。分解カーブは…
ひねひね(YとCのカーブに注目)
左の画像はこちら。
Photoshop上でプロファイルがあたった状態では、色味はほとんど変わらずに見えます。特定条件下で刷られた状態をシミュレートして表示しているため。
この「特定条件」の再現を印刷側でどれくらいできるのかー、って話で…用紙と印刷方法などなどが合致した場合はこの分解で良いのです。
(かといって上質なら全部これでとは到底奨められません。品質が悪いのではなくて、マッチする条件が少ないからです)
ただ、印刷側の要請で、TAC値を下げなければいけない場合はコート・マットでもありますね。紙は一緒だけど、インキ盛れないから抑えてくれ、という場合。
そんなとき、TAC値を落とすためだけに、これだけ色が変わるものを当てちゃったら大変なことになります。
Japan Color 2001 Uncoatedだけでなく他のプロファイルでも同じ。
SWOPv2(300%)
…ないわー(というか未だにこれで分解したデータが、結構大御所な方からお入りになるとそこかしこから聞いておりますが)
モアレの元だわ。
TOYO Uncoated(280%)
…これはこれで、上質〜中質に刷るなら…
ちょっと気になるカーブですけどね。上質でGCR目にしなかったのはちょっと面白い。
条件にマッチしない目的外使用をするとTAC値だけでなく色味も(本来の目的に合わせて、刷られた時に近いイメージになるように)変わってしまいます。総インキ量だけを変更したいなら別の方法を。
じゃぁカスタムCMYKだ!
というわけでよく見る設定でやってみます。
カスタムCMYK・SWOP(コート)・ドットゲイン標準20%・UCR・インキ総量300%
違いますね。グレーがずいぶんズレました。参考に分解カーブを
(Japan Color他と比べてどうでしょうか。きれいすぎますよね。各種パラメータから自動生成したカーブですから)
どうしてカスタムCMYKを勧める時、SWOP(コート紙)固定には言及しないんだろう…と思ってましたが、デフォルトで選択されていることと、他のインキ色を選択するよりなんとなく明るさが(色味抜きにして)変わって見えない、とかそこらへんが原因なのかな、と思いました。
ていうか説明めんどくさい、から?
もうちょっと触って近づけてみる。
これは…
カスタムCMYKで大日本インキを選択、UCR300%、ドットゲインをカーブ…を選択してCMYKそれぞれの50%部を調整したものです。もう少しいじらないと合わないな。GCRの方がいい場合も多いし、墨の調子は軟調〜硬調まで絵柄と目標TAC値で変えた方がいいですね。
ちなみにインキ色を大日本にしドットゲインをデフォルト、UCR300%…黒い。
カスタムCMYKでの分解方法はそこかしこに例示されていますが、
- インキ色設定
- ドットゲイン
このふたつ。特にドットゲイン。ちょ、っと変えるだけで大きく色が変わります。
じゃ、じゃあ色調補正で
大変だからやめといたほうが。
例画像の場合(CMYK)
合成チャンネルでお手軽に、というわけにはいきません。
というか足切りしちゃうとヒストグラムを見ても分かるようにグレーバランス狂います(シャドウ側のCMYの山の位置が重なっています)帯の赤は300%越えてないのに色が変わってしまいました。
この場合お手軽にやるには、墨だけ動かしてみたりします。
着物のトーンが無くなっちゃいましたね…墨で抑えてたシャドウも…たぶん刷ると色転び目立ちます。
マスクかけてチャンネルミキサーで振るとか、特定色域の選択でうまく振りまくるとか、いろいろ手はありますが、
こんなこと何百枚もやってられっかい!www
まだ350%→300%だからいいですが、これで350%→240%なんてほんとやってられません。処理面積多すぎ。むり。
確かに、目標TAC値以外のCMYK値は変化させずに補正できますが、きれいだったヒストグラムを見つつ、ああこんなことしちゃってるんだ私…と思いつつやっていきたいような「テク」です。
Adobeの秘法に300%以上のマスクを作るアクションがありましたね。選択肢に加えておくと少しは楽かも。
再分解して墨版をどうしても動かしたくない場合で、かつ調整量が少ない場合に限られます。
で、どうしたらいい?
どうしましょうねぇ…
分解せざるを得ない前提で、一番いいのは(信頼できる)印刷所指定のプロファイルを使うことです。次はカスタム分解の内容を印刷所に聞くことです。どちらもRGBからやりたいですね。CMYK2CMYKあるいはCMYKに色調補正でやるのはどうしてもそれしかない場合に限りたい…それって初校出しちゃってる状態でしょ。
ここらへんのタイミングの悪さが最初にディスコミュニケーションと言った理由です。
でもこういう情報は、それぞれの印刷所固有のものなんだから、もっと出して欲しいと思いますね。
RGBで入れてもらう、(印刷所内で対応しやすい)プロファイルを指定、CMYK分解方法を指定、Japan Color 2001(2011) Coatedで全てやる、CMYK2CMYKやっちゃう、等々、やって欲しいことはたくさんあるはずです。多くは一般化できないような固有の設定だったり、一般的過ぎて隠す必要もないことだったり。出して損はないはずだよ?
外の人としては、中でどうしているのか分からないのに右往左往している感たっぷりです。
新聞社だと自社プロファイル出してるところ結構あるそうなんですが。
どちらにしても、これは何も情報がない状態でやってしまっていいことではないし、印刷会社の持っている情報なのですから、外の私たちにできることは「しつこく聞く」以外にないと思います。
(※分解カーブの画像は、<?chocolife> PhotoshopでのCMYK分解カーブをJavaScriptを使ってプロットしてみるで公開してくださっているJavaScriptを使ったものです)
『便利かも?PhotoshopでCMYK画像のTAC値オーバーをリアルタイムプレビュー!できるアクション – やもめも』